2024.6.17

SaaS・サブスクリプション事業の主要KPI一覧

SaaS・サブスクリプションビジネスで事業を発展させていくためには、KPI管理が重要です。KPIにはさまざまな種類があり、いずれもビジネスの現況を示す指標として重要な役割を果たしています。

ここでは、SaaS事業における主要なKPIについて解説しています。


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目次
KPIはなぜ重要なのか?
成長性を示すKPI
効率性を示すKPI
継続性を示すKPI
その他、覚えておきたいKPIや用語
KPIを可視化!SaaS・サブスクリプションビジネスの管理基盤「Scalebase」


KPIはなぜ重要なのか?

KPIは、Key Performance Indicatorの頭文字からとったもので、組織目標達成の度合いを定義する指標を意味します。定点観測することで、目標達成に向けた組織のパフォーマンスや現状を把握できるようになります。

SaaSビジネスに限らず、事業の成功には現状把握と予測が不可欠です。ひとつのKPIを定量的に観測したり、複数のKPIを組み合わせて分析することで自社の動向を把握でき、より有効な事業戦略や方針を定められます。またKPIにより顧客の動向が把握できれば、サービス改善に役立ちます。

KPIという共通言語を用いることで、組織内外で自社の状況について共有する際もスムーズに行えます。特に社内での目標共有には大きな役割を果たすでしょう。KPIで売上の見込みを示せれば、仮に事業の立ち上げ期であっても、投資家を呼び込むことも可能です。

また、以下のようにKPIツリーを作成し、KGIに対する分解要素として、施策の検討や実行がもたらす効果検証にも役立てることも可能です。最終目標の内容やそれを達成するための思考やアクションが一目瞭然にすることで、事業や会社全体の成長を促進することに繋がります。


成長性を示すKPI

MRR / ARR
MRRは「Monthly Recurring Revenue」の略で、「月間経常収益」のことです。ARRは「Annual Recurring Revenue」の略で、「年間経常収益」です。MRRとARRは対象とする期間が月間か年間かという点に違いがあります。「毎年(毎月)決まって得られる売り上げ」を指すARR及びMRRは、SaaSビジネスでも特に重要な指標です。


CMRR
CMRRは「Committed MRR」、「確約MRR」のことです。年間契約などの契約体系で将来的に売上が確約されているMRRを示します。CMRRにより、より正確な売上予測が可能です。


Quick Ratio
Quick Ratioとは、一定期間内に失われたMRRと獲得できたMRRの比率を表す指標です。日本語では当座比率ともいいます。SaaS事業において、Quick Ratioは「顧客ロイヤリティ」を獲得できているかを見極めるための指標です。


ARPU/ARPA
ARPU(アープ / Average Revenue Per User)は、「ユーザー1人あたりの平均売上高」を表し、ARPA(アーパ/ Average Revenue per Account)は、「1アカウントあたりの平均売上高」を表します。ARPAとARPUは、売り上げを1ユーザーごとに求めるか、1アカウントごとに求めるかという点に違いがあります。SaaSの場合は、1アカウント単位の契約で複数のユーザーが同時にサービスを利用できるケースもあります。このようなケースでは、ARPUではなく、ARPAを活用したほうが正確な平均売上高を算出できます。


ASP(Average Sales Price)
ASPは、新規顧客1人あたりの平均収益を表し、一定期間内のNew MRRをその期間に獲得した新規顧客数で割ることで算出されます。ASPにより、営業活動の効果を見極められます。



効率性を示すKPI

ユニットエコノミクス(Unit economics)
ユニットエコノミクスとは、1顧客あたりの採算性を指し、「顧客獲得のために投入したコスト」と「獲得した顧客から得られる利益」のバランスを見る指標です。ユニットエコノミクスにより、「顧客獲得のためのコストを増やし、新規顧客獲得に注力すべきなのか」「新規顧客獲得ではなく、既存顧客から得られる収益を改善させる必要があるのか」の判断を行えます。


LTV(Life Time Value)
LTVは、「顧客生涯価値」を意味し、ある顧客が取引を開始してから終了するまでの間に自社にどれだけ利益をもたらしたかを示します。LTVの値が高ければ、同じ顧客にサービス・商品を繰り返し購入してもらうことができていると判断できます。


CAC(Customer Acquisition Cost)
CACとは「顧客獲得単価」を指し、1人(1社)を獲得するためにかかった全費用、具体的には人件費、マーケティング費用、営業部門の活動経費などが含まれます。少ないコストで多くの顧客を獲得できていればCACは低くなり、多くのコストを掛けていてもあまり顧客を獲得できていない場合は高くなります。


CAC payback period
CAC Payback Period(CAC 回収期間)とは、CACを回収し、利益を発生させるためにかかる期間を指します。SaaSビジネスでは、毎月の利用料という形でCACを回収していきますが、CAC Payback Periodは、顧客との契約期間という観点で、サブスクリプションビジネスにおける損益分岐点を示すものです。


Magic Number
Magic Numberは営業やマーケティングにかかるコストに対してARRがどれくらい増加したかを示す指標です。企業がどれだけ効率的に成長しているか確認するために使われます。目安として、SaaS事業の場合、 Magic Numberが0.75以上であれば営業・マーケティングへの投資を加速しても良く、0.75以下であれば営業・マーケティングへの投資や戦略の改善が必要と言われています。


Burn Rate
Burn Rateは、日本語では資金燃焼率と言い、一カ月あたりにかかったコストを指します。一カ月あたりの総コストをグロスバーンレート、総コストから収入を差し引いたコストをネットバーンレートといいます。


Runway
Runwayは、猶予期間のことで、資金が底をつくまでの期間を指します。Runwayの数値を見ながら資金調達のスケジュールを組む必要があります。



継続性を示すKPI

Churn Rate
チャーンレートは、「解約率」のことです。チャーンレートは顧客数を基にしたカスタマーチャーンレートと、収益を基にしたレベニューチャーンレートに大別できます。レベニューチャーンレートの中でも、解約やダウンセルなどによって失った金額とアップセルやクロスセルなどによって得た金額を合算したネットレベニューチャーンレートは、SaaS事業でもよく用いられています。


CRR(Customer Retention Rate)
CRRは「顧客維持率」のことで、一定期間内にどの程度契約を継続できたかを示します。


NRR
NRRとは、「Net Revenue Retention」もしくは「Net Retention Rat」のことで、日本語では売上維持率といいます。顧客が支払った金額の増減率を割合で示した指標です。NRRは新規顧客がもたらした売上は用いず、既存顧客のアップセル/クロスセル、解約、ダウングレードの数値を用いて計算します。つまり、NRRは既存顧客との関係性のみにフォーカスした指標です。



平均継続期間
平均継続期間は、顧客1人あたりの契約の継続期間の平均値を表す指標です。


AU(Active User)
AUは、実際にサービスを利用している顧客が何人いるかを表します。 ユーザーの中には契約しても利用していないユーザーもいるため、どのくらいのユーザーが自発的に利用してくれているか判断するために用いられます。一日単位の「DAU(Daily Active User)」、一週間単位の「WAU(Weekly Active Users)」、一カ月単位の「MAU(Monthly Active User)」があります。


NPS (Net Promoter Score)
NPSは顧客推奨度のことです。「製品・サービスを他者にどの程度勧めたいか」ユーザーに0~10の11段階で判断してもらい、その結果から顧客ロイヤリティを判断します。


NRS(Net Repeater Score)
NPSは顧客継続度のことです。「製品・サービスを一年後に利用したいか」ユーザーに0~5の6段階で判断してもらい、その結果から顧客ロイヤリティを判断します。


その他、覚えておきたいKPIや用語

Rule of 40
40%ルールはSaaS企業を評価する際に基準となる数値です。企業の売上成長率と営業利益の合計が40%を超える状態が望ましいとされており、達成されると企業が収益性と成長性の両方をバランスよく維持できていると評価できます。


TAM (Total Addressable Market)
TAMとは事業者がターゲットとしている市場の最大の市場規模を示します。TAMの把握により、自社の製品やサービスが市場全体でどの程度需要があるかを理解し、市場シェアの拡大や収益アップに繋げられます。


SAM (Service Addressable Market)
SAMはTAMの中でターゲティングした部分の需要のことで、企業が直接的に提供可能な市場規模を示します。より効果的にマーケティング活動を行うためには、SAMの把握が必要不可欠です。


T2D3
T2D3は、ARRを毎年Triple(3倍),Triple(3倍),Double(2倍),Double(2倍),Double(2倍)に成長させ、5年間で売上72倍を目指すモデルのことです。クラウド領域で著名なVC「Battery Ventures」のNeeraj Agrawal氏が提唱したもので、この成長カーブが理想と言われています。


KPIを可視化!SaaS・サブスクリプションビジネスの管理基盤「Scalebase」


ここで、サブスクリプション・従量課金ビジネスを成功に導く販売・請求管理システム「Scalebase」を紹介します。

Scalebaseは、営業が使用するSalesforceなどのCRM・SFAと、経理が使用する会計ソフトの間に位置するサービスです。継続課金ビジネスならではの複雑な契約形態、従量課金において取引量に応じて変動する料率設定、オプション機能の追加などを踏まえた契約変更の履歴管理に対応しています。請求管理では、Scalebaseで設定した計算式(商品マスタ)と使用量データのインポートにより従量計算、サービス・オプションを組み合わせた合計請求額などを自動で算出するため、ミスなく迅速に請求データの確定が行えます。

作成された請求データは、請求書の発行、もしくは決済システムへの連携され、毎月の請求業務を効率化に貢献します。



さらにScalebaseでは、契約・請求データをもとに毎月のMRRやChurn Rateの可視化にも対応しています。毎月、顧客に出す請求のデータをそのまま活用するため、正確な数字を設定なしで可視化します。



継続課金ビジネスの販売戦略・プライシング戦略に最適化された販売・請求管理システムとして、BtoB継続課金ビジネスを展開する100社以上の企業に導入いただいています。



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