2024.1.25

チャーンレート(解約率)とは?種類や計算方法、改善方法を詳しく解説!

SaaSやサブスクリプションビジネスで重要視されている指標のひとつに、「チャーンレート」(Churn Rate、解約率)があります。チャーンレートとは、解約率という数字をもとに、顧客の傾向や満足度を図る指標としてだけでなく、MRRやLTVなどその他のKPIとの関連性も深いものです。

ここでは、チャーンレートの種類や計算方法、重要な理由や改善方法を詳しく解説しました。チャーンレートについて知り、収益アップを目指していきましょう。

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目次
チャーンレートとは?
チャーンレートの種類と計算方法
 カスタマーチャーンレート
 レベニューチャーンレート
チャーンレートの重要性
チャーンレートの改善方法
ネガティブチャーンとは
「Scalebase」の紹介
まとめ


チャーンレートとは?


チャーンレートは、日本語では「解約率」のことです。SaaSやサブスクリプションビジネスでは、年単位や月単位の契約を継続してもらうことで安定した収益を得ています。解約は、収益の減少を意味するため、顧客に契約を継続してもらうことが非常に重要です。

チャーンレートの算出をすることで顧客の解約状況が可視化されるだけでなく、ほかのKPIと合わせて分析を行うことで事業の改善に繋げることができます。



チャーンレートの種類と計算方法


チャーンレートは、カスタマーチャーンレートとレベニューチャーンレートの2つに大別できます。さらにカスタマーチャーンレートはカスタマーチャーンレートとアカウントチャーンレート、レベニューチャーンレートはグロスレベニューチャーンレートとネットレベニューチャーンレートそれぞれ2つに分けてみることができます。ここではその詳細と計算方法について説明します。

①カスタマーチャーンレート

カスタマーチャーンレートは、顧客の数を基にしたチャーンレートです。カスタマーチャーンレートの中でも、顧客数をベースにしたものはカスタマーチャーンレートといい、アカウント数をベースにしたものはアカウントチャーンレートといいます。

①-1 カスタマーチャーンレート

カスタマーチャーンレートは、顧客数全体に対して一定期間に解約した顧客の割合を指しています。サブスクリプションビジネスで単に「チャーンレート」と言う場合には、このカスタマーチャーンレートを指す場合が多いです。

カスタマーチャーンレートは、下記の式で求めることができます。
カスタマーチャーンレート(%)=「期間内の解約ユーザー数」÷「期間前の総ユーザー数」×100

例えば、前月末のユーザー数が500人で、当月に10人が解約した場合のカスタマーチャーンレートは、10 ÷ 500× 100 = 2% となります。

①-2 アカウントチャーンレート

アカウントチャーンレートは、サービスに登録しているアカウント数をベースに算出します。個人や会社で複数のアカウントを持つ場合もあるため、ユーザー数とアカウント数は厳密には異なるケースがあります。アカウントチャーンレートは、契約アカウント数全体に対して一定期間に解約したアカウントの割合を指しています。

アカウントチャーンレートは、下記の式で求めることができます。
アカウントチャーンレート(%)=「期間内の解約アカウント数」÷「期間前の総契約アカウント数」×100

例えば、前月末のアカウント数が500件で、当月に25件が解約した場合のアカウントチャーンレートは、
25 ÷ 500× 100 = 5% となります。


②レベニューチャーンレート

レベニューチャーンレートは、収益を基にしたチャーンレートです。さまざまな料金形態を有するサブスクリプションビジネスでは、カスタマーチャーンレートに加えてレベニューチャーンレートを算出することで、顧客や収益について様々な角度から分析できます。なお、レベニューチャーンレートの算出には、まずMRRの値を求める必要があります。(MRRについてはこちら

②-1 グロスレベニューチャーンレート

レベニューチャーンレートの中でも、解約やダウンセルなどによって失った収益をベースにしたものをグロスレベニューチャーンレートといいます。

グロスレベニューチャーンレートは、下記の式で求めることができます。
グロスレベニューチャーンレート(%)=「期間内に損失したMRR」÷「期間前のMRR」×100

例えば、前月末のMRRが500万円、当月内に解約により損失したMRRが10万円、当月内にダウンセルにより損失したMRRが5万円の場合のグロスレベニューチャーンレートは、(10 + 5)÷ 500 × 100 = 3(%)となります。

②-2 ネットレベニューチャーンレート

レベニューチャーンレートのうち、解約やダウンセルなどによって失った金額とアップセルやクロスセルなどによって拡大した金額を合算したものをネットレベニューチャーンレートといいます。

ネットレベニューチャーンレートは、下記の式で求めることができます。
ネットレベニューチャーンレート(%)=(「期間内に損失したMRR」-「期間内に増額したMRR」)÷「期間前のMRR」×100

例えば、前月末のMRRが500万円、当月内に解約により損失したMRRが10万円、当月内にダウンセルにより損失したMRRが5万円、当月内にアップセルにより増額したMRRが5万円、当月内にクロスセルにより増額したMRRが5万円の場合、ネットレベニューチャーンレートは(10 + 5 - 5 - 5)÷ 500 × 100 = 1(%)となります。



チャーンレートの重要性

チャーンレートは売上に直結している!

チャーンレートは売上に直結しています。その理由を2つに分けて見ていきます。

①新規顧客獲得にかかるコストは既存顧客の維持にかかるコストの5倍

「1:5の法則」といわれるように、新規顧客獲得には既存顧客維持のコストの5倍かかるとされています。そのため、新規顧客の獲得を目指すことよりも、解約率を低く保ち、既存顧客に契約を継続し続けてもらうほうが会社として収益を上げることができます。その顧客の解約の傾向を知るためにも、チャーンレートの分析は欠かせませんものとなっています。

②LTVとの関係

SaaSビジネスでは、LTV(顧客生涯価値)も非常に重要な指標ですが、チャーンレートはLTVにも影響を与えています。SaaSやサブスクリプションビジネスでは、LTVを計算する際に「LTV = 顧客の平均購入単価 ÷ チャーンレート」という式をよく用いるからです。
LTVは、ある顧客が取引を開始してから終了するまでの間に自社にどれだけ利益をもたらしたかの値のことです。LTVの値が高ければ、同じ顧客にサービス・商品を繰り返し購入してもらうことができていると判断でき、チャーンレートを低く保つことが、LTVの値を上昇させる大きな要因となります。

サービス見直しのきっかけになる!

チャーンレートが高い、つまり解約が多いということは、顧客がそのサービスに満足していないことが考えられます。顧客がそのサービスを使いこなすことができていない、他に良いサービスが開発されているなど、顧客の需要を満たせていない状態です。
チャーンレート、さらには解約理由を明確にすることで、提供しているサービスが顧客にとってどの程度需要があるのか明確にでき、そこからビジネスの成長につなげることができます。



チャーンレートの改善方法

顧客データの分析を充実させる

チャーンレートが高い場合、まず顧客が解約に至る原因は何かを探る必要があります。顧客とのコミュニケーションを密に取り、アンケートを実施するなど、常に顧客の困りごとに寄り添いましょう。

また、顧客に関するさまざまなデータを総合的に分析し、顧客の利用状況や情報を分析することも重要ですです。自社サービスを利用している顧客のことをよく知り、それをサービスに反映させていくことが求められます。


サービスや料金形態を見直す

チャーンレートが高い場合にも、むやみにサービスの値下げを行う必要はありませんが、常に自社商品を見直し、システムの拡充やアップデートを行うことは大切です。例えば、複数のプランや料金形態を用意することで、顧客の状況や段階に応じたプランを提供することができ、結果として解約率を抑えることにもつながります。

顧客にとってより使いやすいサービスを提供できるよう改善を行い、顧客ロイヤリティを高めていくことが大切です。


目指すべきガティブチャーンとは


ネガティブチャーンとは、解約やダウンセルによって生まれた損失を、既存顧客のアップセルなどにより、最終的に収益が増加している状況のことです。つまり、ネットレベニューチャーンレートがマイナスとなった状態を指します。

ネットレベニューチャーンレートの算出方法を用いると、例えば前月末のMRRが500万円、当月内に解約により損失したMRRが10万円、当月内にダウンセルにより損失したMRRが5万円、当月内にアップセルにより増額したMRRが10万円、当月内にクロスセルにより増額したMRR10万円の場合、ネットレベニューチャーンレートは(10 + 5 - 10 - 10)÷ 500 × 100 = -1(%)となります。このような状態が、まさにネガティブチャーンです。

ネガティブチャーンは、継続課金ビジネスを行う上で非常に望ましい状態といえ、解約などにより顧客数が減っていても、売上を維持・拡大できていることを意味します。ネガティブチャーンの実現には、顧客のMRR上昇に向けた積極的なセールスや、顧客ロイヤリティ向上に向けたカスタマーサクセスなどの取り組みが欠かせません。解約率を抑えるという守りの姿勢だけでなく、既存顧客からの売上拡大を目指す攻めの姿勢も継続課金ビジネスを行う上では重要な観点となります。


継続課金ビジネスの契約・請求管理から事業指標の可視化に対応した「Scalebase」


ここまでの話を踏まえ、既存顧客のデータを把握・分析するツールとして「Scalebase」を紹介します。「Scalebase」はSaaS、サブスクリプション・リカーリングなど、あらゆる継続課金ビジネスに特化した販売・請求管理システムです。

Scalebaseでは既存顧客の契約管理を行います。継続課金ビジネスならではの複雑な契約形態、顧客ごとに適用される日割りやキャンペーン、契約変更の履歴管理に対応しています。その後の請求管理では、Scalebaseで設定した計算式(商品マスタ)と使用量データのインポートにより、従量計算を含め自動で請求金額の算出するため、ミスなく迅速に請求データの確定が行えます。

レポート機能において契約・請求管理をもとに事業指標の可視化に対応しています。MRRや顧客数、解約率をはじめ継続課金ビジネスにおける主要なKPIを正確に算出します。



継続課金ビジネスの販売戦略・プライシング戦略に最適化された販売・請求管理システムとして、BtoB継続課金ビジネスを展開する100社以上の企業に導入いただいています。


まとめ


チャーンレートは「解約率」のことです。SaaSやサブスクリプションビジネスでは、収益を維持し続けるために、顧客に契約を継続してもらいチャーンレートを低く保つことが非常に重要です。チャーンレートは顧客の数を基にしたカスタマーチャーンレートと、収益を基にしたレベニューチャーンレートに大別でき、それらを組み合わせて分析することで顧客の傾向を知ることができます。

Scalebaseでは、サブスクリプション事業におけるさまざまなKPIを分析することが可能です。継続課金事業にお悩みの方は、ぜひ一度お問い合わせください。


SaaS・サブスクリプションのKPI一覧

・主要KPI一覧
・MRR(月次経常収益)
・ARR(年次経常収益)
・NRR(売上維持率)
・LTV(顧客生涯価値)
・ユニットエコノミクス(LTV/CAC)
・チャーンレート(解約率)
・CAC(顧客獲得単価)
・CAC Payback Period(CAC回収期間)
・ARPU(ユーザー1人あたりの平均売上高)

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