2024.12.16

SaaS収益モデルの基本と事業を加速させるためのポイントとは?

SaaSビジネスの成功に欠かせないのが、収益モデルの最適化と継続的な収益の確保です。しかし、どのような事業指標に注目すべきか、どのセールスモデルが自社に適しているのか、悩ましいと考えたことはありませんか。本記事では、SaaS収益モデルの基本と事業成長を加速させるポイントを解説します。

また、SaaS企業向けに、「サブスクリプションの収益プロセス」についてわかりやすくまとめた資料もあります。ご興味のある方は「サブスクリプションにおける収益プロセスの落とし穴」もあわせてお読みください。


目次
SaaS収益モデルの基本と重要指標
SaaS収益性向上のためのポイントと押さえるべき指標
SaaS事業を加速させるシステムの選び方
SaaS事業の契約管理、料金計算、請求書発行・代金回収までを支える「Scalebase」


SaaS収益モデルの基本と重要指標

SaaS(Software as a Service)は、ソフトウェアをインターネット経由で提供するビジネスモデルです。企業は自社のソフトウェアを月額や年額で提供し、利用者は契約期間中、継続的にサービスを受けられます。従来の売り切り型販売とは異なり、継続的な収益を生む仕組みとして注目されています。

SaaS収益モデルの仕組みと特徴

SaaSビジネスでは、提供するサービスに合わせて課金方法を選択できます。主要な収益モデルは「定額課金」「従量課金」「ハイブリッド」の3つです。これらの収益モデルを選定する際は、顧客のニーズや提供するサービスの特性を理解し、最適な料金体系を設定する必要があります。

定額課金モデル

定額課金モデルは、顧客が月額または年額の固定料金を支払う方式です。SaaSビジネスの中で最も広く採用されており、安定的な収益を見込める点が特徴です。顧客が利用する機能やサービスの範囲に関係なく一定の料金が発生するため、収益予測がしやすく、キャッシュフローの安定化が期待できます。このモデルでは、顧客に長期間サービスを利用してもらうことが重要なため、顧客維持活動(カスタマーサクセス)が収益性に直結します。

従量課金モデル

従量課金モデルは、顧客が使用した分だけ料金を支払う方式です。利用状況に応じて価格が変動するため、顧客が積極的にサービスを利用するほど収益が増加します。特にデータストレージやコンテンツ視聴など、利用量に応じた課金が適したサービスに向いています。ただし、収益予測が難しいため、慎重なキャッシュフロー管理が求められます。

参考記事:従量課金とは?メリット・デメリットから具体事例まで徹底解説

ハイブリッドモデル

定額課金と従量課金を組み合わせたモデルです。たとえば、基本的なサービスは定額で提供し、追加機能やサービス利用分に応じて従量課金を課す方式があります。顧客が利用する機能や規模に応じた柔軟な利用が可能で、幅広い顧客層に対応できる利点があります。


SaaS型ビジネスモデルで重要な指標

ここでは、SaaSビジネスの成功を測るための収益性や顧客の継続利用に関わる代表的な指標を紹介します。

Churn RateChurn Rate(解約率)は、SaaSビジネスにおいて重要な指標の一つです。この指標は、一定期間内に顧客がどれだけ解約したかを示します。Churn Rateが高いと顧客維持が課題となり、成長が鈍化する恐れがあります。
MRR
(Monthly Recurring Revenue)          
MRR(月間定期収益)は、SaaS事業の収益性を示す重要な指標です。新規顧客の獲得や既存顧客のアップセルによりMRRの増加が期待されます。
ARR
(Annual Recurring Revenue)
ARR(年間定期収益)は、MRRを年単位で示したもので、企業の長期的な収益安定性を示します。
LTV
(Customer Lifetime Value)
LTV(顧客生涯価値)は、顧客が企業との契約期間中に支払う総額を示します。LTVを最大化するためには、顧客維持活動やアップセルを行い、顧客との関係を長期間維持することが重要です。



SaaS収益性向上のためのポイントと押さえるべき指標

SaaSビジネスを成功させるためには、収益性向上のための取り組みが欠かせません。こちらでは、その押さえるべきポイントと指標について紹介していきます。

継続率向上を実現するカスタマーサクセス(Churn Rate)

SaaSビジネスでは、顧客の解約(Churn)をいかに抑えるかが成長の鍵となります。ここでは、活動の中心となるカスタマーサクセスチームが担う役割をご紹介します。

まず、導入初期におけるオンボーディングプロセスが重要です。分かりやすいマニュアルやチュートリアル、サポートを提供することで、顧客が製品を最大限に活用できるようにします。次に、顧客と定期的に連絡を取り、問題が発生する前に解決策を提供できる体制を整えることが重要です。カスタマーサクセスチームは、顧客のフィードバックを取り入れ、製品改善に反映させる必要があります。

最後に、カスタマーサクセスチームは顧客の目標達成をサポートすることに重点を置くべきです。顧客がサービスを通じて目標を達成できるようになれば、自然と解約率が低下し、LTVも向上します。


【参考記事】SaaSモデルに欠かせないオンボーディングとは?重要な理由やアプローチ手法、実施時のポイントを解説!


製品に最適なセールスモデルの選定(ロータッチ:MRR、ハイタッチ:ARR)

SaaSビジネスの成功には、製品や顧客層に適したセールスモデルの選定が重要です。こちらでは、ロータッチとハイタッチという2つの主要なセールスモデルについて、それぞれの特徴と重要指標を紹介します。

ロータッチモデルの特徴と重要指標(MRR)

ロータッチモデルは、営業プロセスを最小限に抑え、自動化された販売プロセスやセルフサービスを活用するモデルです。特にBtoC向けや小規模企業向けのSaaS製品に適しています。ロータッチモデルでは、顧客がオンラインで製品を試用し、そのまま契約に至るケースが多いため、MRR(毎月の経常収益)が重要な指標となります。

また、顧客が契約後すぐに製品を利用できるように、自動化されたオンボーディングプロセスを整備することが重要です。ウェビナーやオンラインマニュアル、AIチャットボットの活用により、顧客のサポートを効率化しつつ、満足度を高めることが大切です。

【ロータッチモデルが適するケース】
・低価格帯のサービス
・簡単ですぐに利用開始できるサービス
・自動化されたマーケティングや販売プロセスを活用できる

ハイタッチモデルの特徴と重要指標(ARR)

ハイタッチモデルは、営業担当者が顧客と密に連携し、個別サポートを行うモデルです。特にBtoB(大企業向け)など、複雑な導入プロセスが必要なサービスに適しています。ハイタッチモデルは、年間契約が主流となるため、ARR(年間経常収益)の向上に直結します。営業担当者が顧客の課題を深く理解し、最適なソリューションを提案することで、高額かつ長期の契約を獲得しやすくなります。

ハイタッチモデルでは、顧客ごとのニーズに合わせた製品のカスタマイズや導入支援が求められます。特に、専任のカスタマーサクセスマネージャーが導入後も継続的にサポートを行うことで、顧客満足度が向上し、契約更新率の向上につながります。

【ハイタッチモデルが適するケース】
・高価格帯のサービスで、顧客の意思決定プロセスに時間がかかる
・製品の導入が複雑で、サポートが必要



SaaS事業を加速させるシステムの選び方

SaaSビジネスを成功に導くためには、重要KPIについてタイムリーなレポーティング機能が重要です。また、複雑な収益モデルに対応できる機能を備えたシステムであれば、契約管理から請求書発行までの業務全体の効率化が可能となります。

タイムリーな意思決定を支えるレポーティング機能

SaaSビジネスの拡大には、リアルタイムのデータ分析と迅速な意思決定が求められます。タイムリーな意思決定に必要な重要指標(Churn Rate/MRR/ARR/LTV)がカバーされているかに加え、ダッシュボードによる可視化機能やレポート作成機能を備えているかを確認しましょう。

収益モデルに対応した柔軟な契約管理機能

SaaSビジネスでは、顧客の契約ごとに定額課金、従量課金、ハイブリッド課金といった複雑な料金設計に対応できるシステムが重要です。加えて、契約期間の管理や請求書発行の自動化に対応しているかも確認しましょう。


SaaS事業の契約管理、料金計算、請求書発行・代金回収までを支える「Scalebase」

SaaS事業における既存顧客の契約管理や請求業務の効率化には、継続課金ビジネスに対応した販売・請求管理システムの導入が挙げられます。ここで、SaaS企業を中心に約200社以上の導入実績を持つ販売・請求管理システム「Scalebase」を紹介します。

Scalebaseは、営業が使用するSalesforceなどのCRM・SFAと、経理が使用する会計ソフトの間に位置するサービスです。継続課金ビジネスならではの複雑な契約形態、従量課金において取引量に応じて変動する料率設定、オプション機能の追加などを踏まえた契約変更の履歴管理に対応しています。

請求管理では、Scalebaseで設定した計算式(商品マスタ)と使用量データのインポートにより従量計算、サービス・オプションを組み合わせた合計請求額などを自動で算出するため、ミスなく迅速に請求データの確定が行えます。作成された請求データは、請求書の発行、もしくは決済システムへ連携され、毎月の請求業務の効率化に貢献します。



さらにScalebaseでは、契約・請求データをもとに毎月のMRRやChurn Rateの可視化にも対応しています。毎月、顧客に出す請求のデータをそのまま活用するため、正確な数字を設定なしで可視化します。


まとめ

SaaSビジネスの成功は、SaaS収益モデルの基本と重要指標を理解した上で、適切なセールスモデルの選定と顧客の解約(Churn)を抑える活動の中心となるカスタマーサクセスの体制づくりが鍵になります。また、タイムリーな意思決定を支える最適なシステムの導入により、継続的な成長と収益の安定化を目指しましょう。

サブスクビジネスにおける契約管理・請求管理の効率化でお悩みの場合は、サブスク企業が多く使用する、販売・請求管理システム「Scalebase」や「SaaS販売管理の業務効率化 | Scalebase(スケールベース)」をぜひチェックしてみてください。


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