2024.12.16

SaaSモデルに欠かせないオンボーディングとは?重要な理由やアプローチ手法、実施時のポイントを解説!

オンボーディングは、カスタマーサクセスの分野では、顧客がサービスの使い方に迅速に慣れ、成功体験を得るための重要なステップとされています。顧客の継続利用が鍵となるSaaSやサブスクリプションビジネスにおいて、オンボーディングは不可欠な要素です。

ここでは、オンボーディングについて、重要な理由やアプローチ手法、実施時のポイントについて詳しく解説しました。


目次
オンボーディングとは
なぜオンボーディングは重要なのか
オンボーディングのアプローチ手法
オンボーディングのポイント
オンボーディングのKPI例
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オンボーディングとは

オンボーディングとは、新規で獲得した顧客が自身でサービスを操作・利用し、価値を実感している状態まで導くプロセスのことです。オンボーディングは従来、新入社員が早く環境に馴染めるように導く新人研修を指していました。その意味が転じ、カスタマーサクセスでは「顧客にいち早くサービスや使い方に慣れてもらうプロセス」を指す言葉として用いられています。

カスタマーサクセスにおけるオンボーディングは、顧客の導入フォロー、サービス利用時に生じた課題・不安・疑問を解決し、サービスの理解不足による解約を防止することが目的としています。顧客に自社サービスの機能や活用方法を早期に理解してもらい、成功体験を提供できれば、継続率の向上が期待できます。


なぜオンボーディングが重要なのか

SaaSにおける顧客のライフサイクルは、「導入期」「活用期」「定着期」の3つのフェーズに分けられます。このうちオンボーディングは、導入期から活用期へのスムーズな移行をサポートします。オンボーディングの実施には、以下のような効果が期待できます。

サービス理解の促進と信頼関係の構築

初期段階でつまづいてしまうと、顧客がサービスを使い続けることは困難です。顧客の不安や疑問点を解消し、利用をサポートすることで、顧客のサービス理解を深めます。顧客がサービスを触れ、理解することで、その後の問い合わせ数削減にも繋がり、顧客満足度も高まっていきます。また、顧客とコミュニケーションをとるうちに、その後のCS対応の基盤となる信頼関係を築ける効果もあります。

早期のチャーン(解約)リスクを抑制

オンボーディングの実施により、早期解約を回避できます。SaaSでは、使い方がわからない、サポートが不十分などの理由で解約されるケースが多くあります。オンボーディングによって、顧客が快適に利用できる環境を提供することで、チャーンリスクは低減します。

顧客単価の向上

オンボーディングは、アップセルやクロスセルの機会にもつながります。アップセルとは、プランのアップを提案すること、クロスセルは関連する別サービスの購入を促進することです。初期段階でサービスの価値を理解し満足してもらうことで、提供価値の最大化にむけた提案がしやすくなります。

LTV(顧客生涯価値)の最大化

LTVの最大化は、SaaSビジネスにおいて非常に重要です。LTVは、顧客がサービスを利用する期間中に企業にもたらす総利益を指します。オンボーディングによって顧客の定着率を向上させられれば、利用単価の向上、継続率の向上により、LTVの向上に直結します。


【参考記事】LTV向上のための施策|メリット・計算方法・効果的なツールも解説


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オンボーディングのアプローチ手法

オンボーディングにおけるアプローチ手法は、「ハイタッチ」、「ロータッチ」、「テックタッチ」の3つがあります。以下にそれぞれについて解説します。

ハイタッチ

ハイタッチは、1対1の個別サポートを提供する手法です。特に契約初期段階にある大口顧客に対して、この手法が用いられます。ハイタッチの特徴は、顧客1人1人に対して手厚いサポートを行うため、満足度が高くなり、継続利用やアップセルを促進しやすくなることです。しかし、時間とコストがかかるため、すべての顧客に対してこの手法を適用することは難しく、後述するロータッチやテックタッチと組み合わせて用いられることが多いです。

ロータッチ

ロータッチは、1対多数でサポートを提供する手法です。導入費用が高くない顧客に対して、セミナーや勉強会などの形式でサポートを行います。この手法では、Webコンテンツやメールを活用して、1度の情報提供で多くの顧客をフォローしつつ、必要に応じて個別対応も行います。効率的かつコスト効果が高い反面、個々の顧客ニーズに十分に対応しきれない側面もあります。

テックタッチ

テックタッチは、テクノロジーを活用して大多数の顧客にアプローチする手法です。顧客数が多く個別対応が難しい場合や、よくある問い合わせ・問題についての解決策を一度に届けたい場合に、テクノロジーの力を借りてサポートを行います。具体的には、チュートリアル・学習ガイドの設置、FAQ・ヘルプセンターの提供、メルマガ・自動通知でのアナウンスといった方法があります。低コストで広範なサポートを提供できる反面、詳細なサポートを提供することが難しく、顧客の特定の問題に対応しきれない側面があります。




オンボーディングのポイント

オンボーディングの実施には、いくつかのポイントがあります。

①顧客の理解

顧客が自社サービスにどのような価値を見出すかは、利用目的や背景によって異なります。顧客のニーズを把握するために、導入目的の把握からゴールの設定に加え、定期的にVOC(Voice of Customer)を収集し、顧客が抱えている課題を常に把握することが大切です。ヒアリングやデータ分析により顧客への理解を深め、適切なサポートを提供しましょう。

②継続的な関係性意識と目標設定

オンボーディングには単発のアドバイスや提案だけでなく、顧客が抱える悩みや疑問に継続的に対応することが求められています。オンボーディングの成功には、継続的なフォロー体制の構築と目標設定が不可欠です。いつまでにどの段階まで到達するのかといったゴールを定めて成功定義を明確にし、顧客との信頼関係を築いていきましょう。

③複数のタッチモデルの組み合わせ

オンボーディングの方策として、複数のタッチモデルの組み合わせが効果的です。事業の効率性を重視する場合でも、オンボーディングの段階では、テックタッチだけでは不十分なことが多いです。「ハイタッチ」、「ロータッチ」、「テックタッチ」を適切に組み合わせることで、顧客のニーズに応じた最適なサポートを提供しましょう。


オンボーディングのKPI例

オンボーディングの指標として機能するKPIには、以下のようなものがあります。

LTV(顧客生涯価値)

LTV(顧客生涯価値)は、1顧客が生涯にわたって企業にもたらす総収益を示します。オンボーディングの成功と信頼関係の構築により、継続した利用とアップセル・クロスセルの促進により、LTVが向上します。

NRR(売上継続率)

NRR(売上継続率)は、一定期間内に既存顧客からの収益がどれだけ維持されているかを示す指標です。高いNRRは、顧客がサービスを継続利用し、アップセルやクロスセルも行われていることを示します。オンボーディングが成功しているとNRRも向上しやすくなります。

CRR(顧客維持率)

CRR(顧客維持率)は、一定期間内にどれだけの顧客が継続してサービスを利用しているかを示します。オンボーディングにより新規顧客がスムーズにサービスを利用し、長期的な利用を行うようになれば、CRRが向上します。

チャーンレート(解約率)

チャーンレート(解約率)は、一定期間内にサービスを解約した顧客の割合を示します。解約率が高い場合、カスタマーサクセスは機能していないともいえます。定期的なVOC収集と分析を行い、対策を講じることが重要です。

アップセル・クロスセル率

アップセル・クロスセル率は、既存顧客がどれくらいアップセル・クロスセルを行ったかを示します。オンボーディングによりサービス価値への理解が深まると、追加購入の意欲が高まります。アップセル・クロスセル率の向上は、LTVやNRRの向上にも寄与します。

オンボーディング完了率

オンボーディング完了率は、顧客がサービスを自分自身で利用できる状態に達した割合を示します。オンボーディング完了率が高いと、顧客はスムーズにサービスを利用できるため、チャーンレートの低下にもつながります。


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さらにScalebaseでは、契約・請求データをもとに毎月のMRRやChurn Rateの可視化にも対応しています。毎月、顧客に出す請求のデータをそのまま活用するため、正確な数字を設定なしで可視化します。



まとめ

オンボーディングは、新規顧客がサービスに迅速に慣れ、その価値を実感するための重要なプロセスです。オンボーディングの成功は、サービスの長期的な利用と収益の安定に繋がり、企業の成長を支える重要な要素となります。

Scalebaseでは、既存顧客の契約や請求を管理するシステムです。契約・請求の履歴から各顧客の利用状況も把握でき、MRRや解約率など事業指標の可視化にも対応しています。SaaS企業を中心に200社以上の企業に導入いただいており、様々な硬派鵜を提供することが可能です。SaaS・サブスクリプション事業でお悩みの方は、ぜひScalebaseにお問い合わせください。



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