2025.9.12

リカーリングレベニューとは?サブスクとの違いから、収益最適化まで徹底解説

ビジネスの持続的な成長を目指す企業にとって、安定した収益基盤の構築は不可欠です。近年、特に注目を集めているのが「リカーリングレベニュー」という概念です。単発の売上ではなく、顧客から定期的かつ予測可能な形で得られる継続的な収益を意味し、多くの企業がこの収益モデルへの転換を図っています。

本記事では、リカーリングレベニューの基本的な概念から、混同されやすいサブスクリプションとの違い、ビジネスにもたらすメリット・デメリット、そして収益を最大化するための具体的な戦略までを解説します。

BtoB向け継続課金サービスの事業を成功させるためには、利益の仕組みを理解するだけでなく、いくつか押さえるべきポイントがあります。成功のポイントを詳しく知りたい方は「BtoB継続課金ビジネスを成功に導く販売・請求管理」をお読みください。


目次
リカーリングレベニューとは?
リカーリングレベニューを生み出すサブスクモデルのメリット
企業がリカーリングレベニューを活用すべき理由
リカーリングレベニューを最大化するための課題
サブスク管理プラットフォームの導入がもたらす解決策
サブスクビジネスの契約管理、料金計算、請求書発行・代金回収までを支える「Scalebase」


リカーリングレベニューとは?

「リカーリング(Recurring)」という言葉は、英語で「繰り返す」「循環する」という意味を持ちます。この言葉が示す通り、リカーリングレベニュー(Recurring Revenue)とは、顧客から定期的かつ予測可能な形で得られる継続的な収益のことを指し、「継続収益」や「繰延収益」とも呼ばれます。これは企業の安定した経営基盤を支える重要な指標とされています。

従来のビジネスモデルの多くは、商品やサービスを一度販売して取引が完了する「フロー型」に分類されます。例えば、飲食店での食事や家電量販店での購入などが該当します。これに対し、リカーリングレベニューは、顧客と一定期間にわたる契約を結び、商品やサービスを継続的に提供することで収入を得る「ストック型」ビジネスモデルの中核を成します。このモデルは、顧客獲得コストの効率化と顧客生涯価値(LTV)の最大化を同時に実現できる特徴があります。

身近なリカーリングレベニューの例としては、以下のようなものが挙げられます。

• 電気、ガス、水道などの公共料金
• プロバイダや電話会社の通信料金
• プリンター本体とインクカートリッジの販売
• ゲーム機本体とゲームソフトの販売
• 会員制フィットネスジムの月会費

これらのビジネスは、一度顧客を獲得すれば、継続的な利用が見込まれるため、長期的な収益を安定的に確保できるという特徴を持っています


リカーリングレベニューとサブスクリプションの違い

リカーリングレベニューと「サブスクリプション(Subscription)」は、どちらも継続的な収益を目的とするビジネスモデルであるため、混同されがちです。しかし、両者には明確な違いがあります。結論から言えば、サブスクリプションはリカーリングレベニューを構成する主要なモデルの一つであり、リカーリングレベニューという大きな枠組みの中にサブスクリプションモデルが含まれる関係性です。

主な違いは「課金形態」にあります。

特徴リカーリングレベニュー
(リカーリングモデル) 
サブスクリプションモデル
定義継続収益を得るビジネスモデルの総称一定期間のサービス利用権を定額で提供するビジネスモデル
課金形態従量課金制と定額制の両方を含む一般的に定額制
料金変動利用量や消耗品消費量に応じて変動する場合が多い利用の有無にかかわらず一定料金が発生
解約の柔軟性契約期間の縛りがある場合もある基本的にいつでも解約可能
具体例プリンターとインク、スマートフォンの従量制プラン、公共料金などNetflix、Spotifyなどの動画・音楽配信サービス、SaaS型ソフトウェアサービス等

リカーリングレベニューが幅広い継続収益の形態を指すのに対し、サブスクリプションは、月額や年額といった定額料金を支払うことで、決められた期間内でサービスを利用できるモデルに特化している点が大きな違いです。

【参考記事】リカーリングとは?サブスクリプションとの違いや特徴を解説


なぜ今、リカーリングレベニューがビジネスに不可欠なのか?

リカーリングレベニューという概念は以前から存在しますが、近年、その重要性が急速に高まっています。その背景には、以下のような市場環境の変化があります。

1. デジタルテクノロジーの急速な進展

IoTやAI、5Gといったデジタル技術の進化は目覚ましく、製品やサービスからリアルタイムで顧客データを取得し、それを基に適切なサービスを提供することが可能になりました。特にSaaS(Software as a Service)のようなクラウドサービスは、リカーリングレベニューモデルを前提としており、市場規模は2022年度で1兆8,330億円、2026年度には3兆830億円に達すると予測されています。

2. 「所有から利用へ」の購買行動の変化

現代の消費者は、モノを「所有」することよりも、利用を通じて得られる「体験価値」を重視する傾向にあります。シェアリングエコノミーの発展やSDGsへの意識の高まりも相まって、売り切り型のビジネスモデルは限界を迎えつつあり、継続的な利用を促すリカーリングレベニューモデルへの転換が求められています。

3. 製品・サービスのコモディティ化による収益低下

市場が成熟し、多くの製品やサービスが機能・品質面で差別化しにくくなる「コモディティ化」が進んでいます。これにより価格競争が激化し、収益性が低下する課題に直面する企業が増加しています。予測可能で安定したリカーリングレベニューは、こうした状況下での収益確保と経営安定化の鍵となります。

4. CX(カスタマーエクスペリエンス)の重要性向上

顧客が製品やサービスを通じて得る体験(CX)の質が、企業の競争優位性を確立する上で不可欠になっています。デジタルテクノロジーを活用することで、顧客との継続的な接点を強化し、パーソナライズされたアプローチやきめ細やかなサポートを提供することが、顧客ロイヤリティを高め、リカーリングレベニューの維持・拡大に繋がります。

5. 投資家からの評価の高まり

スタートアップエコシステムでは、ベンチャーキャピタル(VC)や投資家が、MRR(月間経常収益)やARR(年間経常収益)といったリカーリングレベニューを示す指標を重視する傾向にあります。これにより、リカーリングレベニューモデルを採用する企業は、事業の将来性を数値で示しやすく、資金調達を有利に進められるというメリットがあります。


リカーリングレベニューがもたらすメリットと潜在的なデメリット

リカーリングレベニューモデルへの転換は、企業に多くのメリットをもたらす一方で、いくつかのデメリットも存在します。

メリット

1. 長期的に安定した収益確保
一度契約を締結すれば、顧客との継続的な関係が前提となるため、長期にわたる安定的な収益が見込めます。これにより、売り切り型ビジネスに比べて、単月ごとの売上変動リスクを低減できます。

2. 売上・収益の予測が立てやすい
契約者数や解約率といった指標を正確に把握することで、将来の売上や収益を高い精度で予測することが可能になります。この予測可能性は、経営目標の立案、事業計画の策定、投資計画、そして資金調達において大きなアドバンテージとなります。

3. キャッシュフローの安定化
毎月または毎年、確実に収益が入ってくることで、企業のキャッシュフローが安定します。これにより、人材採用、マーケティング投資、プロダクト開発などへの計画的な資金配分が可能となり、特に創業初期の資金繰りにおけるリスクを軽減できます。

4. 顧客との関係強化とロイヤリティ向上
継続的なサービス提供を通じて、顧客のニーズや課題を深く理解し、プロダクトやサービスの改善に活かすサイクルが生まれます。定期的なコミュニケーションやパーソナライズされたアプローチにより、顧客ロイヤリティを高め、アップセルやクロスセルの機会も増加し、LTV(顧客生涯価値)の最大化に貢献します。

5. コスト削減
売上予測の精度向上により、生産計画の最適化や在庫ロスの削減が可能になります。また、既存顧客からの継続収益が中心となることで、新規顧客獲得にかかるコスト(CAC)を効率化できる点も大きなメリットです。


デメリット

1. 初期投資が高額になりやすい
リカーリングレベニューモデルは、サービスの継続的な利用を前提とするため、初期のシステム構築や顧客獲得までに多額の初期投資が必要となる傾向があります。損益分岐点に到達するまでに時間がかかり、その間の運転資金の確保が重要となります。

2. チャーン率(解約率)の管理と顧客維持の難しさ
継続収益を維持するためには、顧客満足度を高く保ち、解約(チャーン)を最小限に抑えることが不可欠です。顧客の声を拾い、サービスの使い勝手や品質を継続的に改善し続ける努力が求められます。チャーン率がわずかでも高いと、長期的な収益に大きな影響を与えます。

3. 価格競争のリスク
市場規模が大きく、需要が見込めるリカーリングレベニューの分野には、多くの企業が新規参入します。これにより価格競争が激化する可能性があり、他社との差別化を図るための独自性や付加価値の提供が重要となります。



リカーリングレベニューを最大化するための戦略とKPI

リカーリングレベニューを最大化し、持続的な事業成長を実現するためには、戦略的なアプローチと適切な重要指標(KPI)の設定・管理が不可欠です。

1. 適切な価格設定と柔軟な料金体系の構築

顧客が得られる価値を定量化し、その一部を価格として設定する「価値ベースの価格設定」を推奨します。また、顧客のニーズに応じた柔軟な料金体系として、基本、標準、プレミアムといった階層型プラン、利用量に応じた従量課金、あるいは両者を組み合わせたハイブリッド型モデルを導入することも有効ですScalebaseは、単発課金、定額課金、従量課金、多段階従量課金、日割計算、完全従量(使用量課金)、複合商材課金など、あらゆる料金モデルを標準機能で表現できます。

2. プロダクト主導型成長(PLG)の実装

営業活動に過度に依存せず、プロダクト自体が顧客獲得と成長のエンジンとなる戦略です。直感的なUI/UX、セルフサービスでの導入、価値を即座に体感できるオンボーディングが不可欠となります。無料プランや無料トライアルを通じて製品の価値を実感してもらい、利用が定着したタイミングで有料プランへの移行を促すことで、効率的な顧客獲得と成長を目指します。

3. アップセルとクロスセルの最適化

既存顧客からの収益拡大は、新規顧客獲得よりもコスト効率が高く、リカーリングレベニュー最大化に極めて重要です。顧客の成長や利用状況に応じて上位プランへの移行を促すアップセル、関連サービスや追加機能を提供するクロスセルは、顧客単価(ARPU)の継続的な向上に寄与します。

4. 長期契約インセンティブの設計

年間契約や複数年契約への誘導は、収益の安定性を高め、チャーン率の低減に大きく貢献します。月額契約と比較して割引を提供したり、優先サポート、限定機能へのアクセス、専任のカスタマーサクセスマネージャーの配置など、価格以外の付加価値を提供したりすることで、長期的な顧客関係を構築します。自動更新条項の設定もリテンション率向上に繋がります。

5. CX(カスタマーエクスペリエンス)の改善とカスタマーサクセス

顧客に継続的に利用してもらうためには、優れた顧客体験(CX)の提供が不可欠です。自動支払い・自動契約更新など快適なシステム導入、顧客に役立つ情報提供、データに基づくパーソナライズされたアプローチ、そして手厚いサポート体制の構築が重要です。カスタマーサクセスチームを設置し、顧客の成功を支援することで、チャーン率の改善に繋がります。


リカーリングレベニューで抑えるべき重要KPI(Key Performance Indicator)

リカーリングレベニューモデルでは、以下のKPIを継続的に追跡し、データドリブンな意思決定を行うことが成功の鍵となります。

指標説明                          
MRR / ARR
(月間・年間経常収益)
企業の健全性と成長トレンドを測る主要指標。新規MRR、拡張MRR、縮小MRR、解約MRRに分解して追跡。成長のボトルネックを特定し、改善施策に繋げる。
LTV / CAC
(顧客生涯価値 / 顧客獲得コスト)
LTV/CAC比率は持続可能性を測る鍵で、3倍以上が健全水準。LTVを高めるには、チャーン率低下・顧客単価向上・契約期間延長が有効。バランスの取れた投資判断にも活用可能。
チャーン率 / リテンション率
(解約率 / 継続率)
顧客数・収益の両面で分析すべき最重要KPI。コホート分析やヘルススコアで解約リスクを早期把握。契約更新率の定期モニタリングも不可欠。


リカーリングレベニュー最適化を加速する「Scalebase」

リカーリングレベニューを基盤とするサブスクリプションビジネスが拡大する中で、多くの企業がその複雑な販売管理プロセスに課題を抱えています。見積もりから契約、料金計算、請求、決済、入金消込、収益認識、そして分析に至る一連の業務が分断され、手作業によるミスや属人化、経営判断の遅れを招きがちです。

AIで企業の収益プロセスを最適化する「Scalebase(スケールベース)」は、これらの課題を解決し、リカーリングレベニューの最大化を支援するための販売管理システムです。


Scalebaseが解決する主な課題

Scalebaseは、以下のようなサブスクリプションビジネス特有の課題を解決します。

販売管理プロセスの分断とデータ不整合
見積もりから収益管理までの一連の販売プロセスにおけるデータ連携を実現し、業務全体の可視性を高めます。これにより、手作業による連携ミスやタイムラグをなくし、正確なデータに基づいた経営を可能にします。

複雑な料金計算と属人化
単発、定額、従量、多段階従量、日割、完全従量、複合商材など、多岐にわたる料金モデルに標準機能で対応し、複雑な料金計算をシステム化・自動化することで、属人化を排除し、フロントオフィス・バックオフィス双方の業務負担を軽減します。

経営判断の遅れと収益悪化
サブスクリプションビジネスにおける重要なKPI(MRR/ARR、チャーンレート、LTVなど)をリアルタイムで正確に把握・取得できるダッシュボードを提供します。これにより、経営層は正確な収益状況に基づいた戦略的な意思決定を迅速に行うことができ、収益悪化のリスクを低減します。

請求・決済業務の非効率化
請求書発行、各種決済対応(クレジットカード、口座振替など)、入金消込、督促といった請求・決済業務全体を一元管理し、自動化します。これにより、手作業による非効率な業務から解放され、コスト削減と業務の迅速化を実現します。

複雑な契約管理
新規契約以降の契約変更履歴(アップセル、ダウングレード、解約など)を時系列でデータ管理し、契約全体の正確な把握を可能にします。契約変更に伴う請求処理の再設定にも柔軟に対応します。


Scalebaseの主な強み

Scalebaseは、リカーリングレベニューの最適化を実現するために、以下の4つのコンセプトを核としています。

1. 業務網羅性
価格表、顧客情報、見積、契約管理、料金計算、請求・決済、入金、売上管理まで、サブスクリプションビジネスに必要な販売管理業務を一気通貫で網羅的にサポートします。データから事業指標のダッシュボードまで提供します。

2. 正確性と効率性
複雑な料金計算や収益管理をシステム化・自動化することで、業務の正確性と効率性を大幅に向上させ、信頼できる経営データを提供します。

3. スケーラビリティ
多様なプライシングモデルへの対応や、Salesforce, HubSpotなどの既存CRM/SFAシステム、会計システム(freee, MoneyForward, Makeleapsなど)とのAPI連携も可能で、将来的な事業拡大や複雑化するニーズにも標準機能で柔軟に対応できます。

4. 成長戦略の支援
サブスクリプション特有のデータをリアルタイムで可視化し、戦略的な意思決定を支援します。担当コンサルタントがリカーリングレベニューの最大化に向けた事業成長に伴走します。


また、NTT東日本、TOPPAN、テレシス、THKをはじめとする300社を超える多様な企業への導入実績があり、その信頼性と効果が証明されています。特に、法人向け請求・決済システムである「Scalebaseペイメント」は、請求書発行から各種決済対応、入金消込、督促までを一元管理し、売上回収プロセス全体を確実に、かつ低コストで実現します。手作業による精神的負担の高い非効率な業務を「テクノロジーの力」で極限まで減らすことを目指しています。郵便代行機能では、最短翌営業日発送も可能です。


まとめ

リカーリングレベニューは、現代の変動の激しいビジネス環境において、企業の持続的な成長と安定した経営基盤を築くための重要な概念です。デジタル化の進展、消費者の購買行動の変化、コモディティ化の加速といった背景から、その重要性はますます高まっています。

リカーリングレベニューを最大化するためには、単に継続課金モデルを導入するだけでなく、適切な価格設定、KPI管理、プロダクト主導型成長、アップセル/クロスセルの最適化、そして何よりも顧客体験(CX)の向上に注力することが不可欠です。

しかし、これらの取り組みは、特にサブスクリプションビジネスにおいては、複雑な料金体系、煩雑な請求・決済業務、属人化したデータ管理といった多くの課題を伴います。 Scalebaseは、これらの課題を一気通貫で解決し、企業のリカーリングレベニュー最適化を支援する販売管理システムです。正確な収益状況のリアルタイム把握、柔軟な料金体系への対応、自動化された請求・決済プロセスにより、貴社の事業成長を加速させます。

ぜひ「Scalebase」の導入をご検討ください。Scalebaseの資料ダウンロードはこちら。サービスについて詳しく知りたい方は「サブスクリプション管理の業務効率化 | Scalebase(スケールベース)」もご覧ください。


関連記事

LOADING...

資料ダウンロード

資料請求、業種別事例やデモのご案内、お見積りなど、
お気軽にご相談ください。