社名/公益財団法人助成財団センター
業種/ 財団法人
公益財団法人助成財団センターは、300を超える団体・個人会員への会費請求や、セミナーごとの参加費管理をすべてExcelで対応しており、業務の負荷や入金漏れなどに課題を抱えていました。こうした背景からScalebaseを導入しました。伝統を重んじる保守的な組織風土の中でも、柔軟にツールを取り入れながら、業務プロセスの見直しと持続可能な運営体制づくりに着手しています。今回の事例では、助成財団センターの運営に、Scalebaseがどのように貢献しているかについて、総務部長の吉田 達二様、主任(情報システム担当)の木村 健二様に、お話を伺いました。
-事業の概要について教えてください。
吉田 さま:
公益財団法人助成財団センターは、助成を行う団体と助成を求める側との情報交流を目的として、1985年に「助成財団資料センター」として設立されました。当初は各財団から寄贈された書籍や統計資料、会報を収集・整理する情報提供施設として機能していました。活動の幅が広がる中で88年には財団法人化、96年には助成財団センターへの名称変更、2009年には公益財団法人に移行しました。
現在の活動は大きく三つの柱に分類されます。
1.中間支援センター機能 | 助成・奨学金情報naviによる情報提供、財団運営の支援(相談、研修・セミナー)、業種別交流会 |
2.情報センター機能 | 書籍・情報の収集、助成に関する調査・研究と提言 |
3.広報センター機能 | 助成に関する調査結果の公表、啓発活動、出版を通じた広報 |
当センターが支援する助成事業(財団)は、企業の社会貢献活動、イメージ向上などの視点から始まり、近年はSDGsへの貢献や社会的インパクトの創出など、戦略的な目的を掲げる財団が増えています。2010年以降には、経済低迷やコロナ禍など外部環境変化による逆風はあったものの、助成額は右肩上がりに伸び、年間約1,600億円が投じられています。その一方、大半の財団は中小規模なので、情報発信や応募者確保、財団間の連携に課題を抱えています。助成を求める側もニーズが多様化するなかで情報収集に苦慮しており、当センターでは双方のギャップを埋めるため、マッチングの運営で、より効率的な助成の仕組み構築の支援を進めています。
-どのような事業でどのような請求を行っていますか?
木村 さま:
財団法人は、基金運用によって収益を上げながら慈善活動を行うことが多いですが、当センターは会費を通じて継続的にサービスを提供していく会員組織としての性質も併せ持っていることが特徴です。
会費は、法人会員の方には1口6万円(年額)、個人会員の方には1口1万円(年額)からご協力をいただいております。現在は、約300の団体・個人の皆様よりご支援をいただいていて、会員の方には各種特典をご用意しております。 ※会員募集(入会のご案内)についてはこちら
また、助成事業に携わる団体職員を対象にセミナーも開催しています。参加費は会員の方への割引をはじめ、セミナーごとに異なる価格、セット受講での割引、セミナー後の交流会参加費など複数の料金体系があり、申込内容に応じて個別に請求をしています。
-Scalebase検討の背景、導入前の課題はどのようなものですか?
木村 さま:
会費およびセミナー収入が主な財源であり、デジタル活用による会員拡大やセミナーの収益化が重要な経営課題でした。その中で足かせになっていたのが、Excelと手作業に依存した契約管理および請求業務です。
会費管理については、毎年5月に会員情報の整理、新規入会や退会を含む更新などの管理を行い、その後の請求書作成から郵送までを全てExcelと手作業で対応していました。年に一度の作業であるうえに、請求件数も多く、加えて理事会や評議員会の準備が重なるため、経理担当者にとっては非常に負荷の大きな作業となっていました。
セミナーについても、開催ごとに参加者や料金体系が異なるため都度細やかな確認が必要で、請求書の送付はメールで行っていましたが、発行から送付までの一連の対応には手作業が残っていました。
入金管理についてもExcelベースで行っており、銀行の入金履歴を確認したうえで、手動でデータ入力・消込処理を行っていました。その過程で入金漏れや確認ミスもあり、未回収も見受けられました。特に、毎年11月頃に開催している200名規模のフォーラムでは、経理担当者が多大な時間と労力を要する状況となっていました。
-Scalebase導入の決め手について教えてください。
吉田 さま:
「ITトレンド」で資料請求をさせていただいたのですが、レスポンスが非常に早く、第一印象がとても良かったです。
機能面についても、現在手作業で対応していた業務の多くがScalebaseでシステム化されることを確認できました。将来的なDXの候補業務として資料請求を2025年2月にしましたが、御社から「せっかくなら今年の5月の請求に間に合わせましょう」とまで提案していただき、そこまで考えていなかった我々にとって、良い後押しになりました。
全体を通して、アプローチの仕方、丁寧な説明、トライアル時のフォローやリーダーシップ、いずれも好印象でした。また、「助成・奨学金情報navi」のデータベースの価値を最大化させていく上で、将来的に従量課金でのサービス提供も構想としてあり、その実現イメージが持てたことも良かったです。Scalebaseさんは、まだ若い会社だと思いますが、このような請求・課金システムの領域には向いていると感じており、「こういう出会いが欲しかった」と、前向きな気持ちで導入を決めました。
-Scalebaseへの移行はどのように進みましたか?
木村 さま:
トライアル期間中、つまずく場面はいくつかありましたが、その都度、こちらの質問に対してすぐにレスポンスや代替案をいただき、スムーズに進めることができました。
たとえば、会費の口数について、「1.25口」「1.5口」といった整数ではない口数の契約が存在しており、当初想定していた運用では対応が難しいケースがありました。その点についても代替案を提案いただき、その調整内容が取引先に影響しない形で処理されることも確認できました。こうしたフォロー力の高さとスピード感もあり、無事に5月の会費請求から活用できました。
-Scalebase、Scalebaseペイメント導入の効果をどのように感じていますか。
吉田 さま:
一番の効果は、手作業での請求書作成が不要となり、入金確認の漏れがなくなった点です。
以前は、複数の会員台帳・入金台帳・消込台帳など多くのExcelファイルを使って管理していたため、確認作業が煩雑になり、ミスが発生しやすい状態でした。特に会費の請求では、請求書の印刷や封詰めなども含めて3-4日を要していたと思います。
Scalebaseでは、契約情報を登録しておけば、請求データ作成から請求書発行・郵送、入金消込までを一気通貫で処理できます。入金処理においても、入金明細データをそのまま取り込むだけで、自動的に消込が完了するため、作業が大幅に軽減されました。従来であればゴールデンウィーク期間に業務を余儀なくされていましたが、今年は回避できました。担当者の作業負担のみならず、精神的な負荷も大幅に軽減されており、組織として大きな業務改善につながっています。
吉田 さま:
管理・監督の立場としても、ScalebaseにはExcelにはない安心感があります。
Scalebaseでは、契約管理から請求までの情報を一元的に管理しており、「今どうなっているのか」「何が、どれだけ未処理なのか」が、誰の目にも瞬時で把握できます。以前であれば、担当者から口頭で進捗説明を受けていましたが、完全に把握しきれない部分がありました。今ではシステムを見るだけで状況が明確に分かり、担当者との認識のズレも起きにくくなっています。
実際に活用して、便利だと感じている機能はありますか?
木村 さま:
「商品マスタ機能」です。Scalebaseは継続課金に強いツールという印象でしたので、セミナーのような単発課金に適しているか少し不安もありました。しかし、実際に使用してみると、セミナーごとにアイテムを作成し、参加者(顧客情報)の契約情報に、ポチポチとアイテムを紐づけていくだけで管理できます。対象のアイテムを1つ作るだけで済むので、処理がとても楽になったと感じています。
-他の財団法人、非営利法人などでもScalebaseをおすすめできそうでしょうか?
吉田 さま:
財団法人は基金を運用して活動するという形が多いため、そもそも請求業務が発生するケースは多くはないかもしれませんが、社団法人やNPO/NGOといった他の非営利法人でも、我々のように会費やセミナーのような請求業務がある場合には、Scalebaseは十分にフィットすると思います
-最後に、組織としてScalebaseを導入した意義について改めて教えてください。
吉田 さま:
業務効率化の意味合いは当然ですが、当センターにとってはScalebaseのような新しいツールを導入したこと自体に大きな意義があると思っています。
当センターは「公益法人」であり、認可事業として運営しているため、組織文化はどうしても保守的です。認可された事業の範囲を逸脱することを避けるために、業務のプロセスについても従来のやり方を踏襲することが是とされる風土があります。私は、一般企業に長年勤めてきたので、当初は、マニュアル作業の多さに驚くことが多かったです。
ただ、当センターは非常に限られた人数で業務を遂行しています。常勤のメンバーは、理事長以下、専務理事、総務部長、経理・庶務担当2名、事業担当3名の計8名です。この体制で成果を上げていくためには、業務の非効率や無駄を徹底的に見直し、デジタル化を推進していくことが不可欠でした。そこで取り組んだのが「請求業務の効率化」であり、Scalebaseの導入はそうした業務改革の第一歩となるチャレンジでした。
事業活動においても『助成団体要覧』『助成金応募ガイド』『JFCニュース』など従来の刊行物による情報提供に加え、2021年より「助成・奨学金情報navi」というオンラインデータベースを立ち上げるなど、大きく進化をしています。各助成財団が時代に即して柔軟に変化し、持続可能な活動のあり方を模索しているなかで、当センターもデジタル技術の進展、産業・企業や人々の行動様式の変化といった新しい潮流にこれからも積極的に向き合って、助成事業の啓蒙や新たなサービスの創造で、社会に貢献していきたいと考えています。
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