社名/スマートキャンプ株式会社
業種/情報通信
新機能リリースによるサービス価値の向上は、SaaSにとって、課金ポイントの創出、価格改定の機会ともいえます。
今回の事例では、インサイドセールス支援クラウドサービス「BALES CLOUD(ベイルズクラウド)」が考えるプライシングの基本思想と、多様なオプション提供によって発生するIDや機能の課金ステータスの管理にScalebaseがどのように貢献しているかについて、スマートキャンプ株式会社 取締役執行役員COOの阿部 慎平様、同 BALES CLOUDカンパニー 営業統括本部 営業サポート部の中谷 奈津希様と寺島 柚佳様に、お話を伺いました。
-会社と事業の概要について教えてください。
阿部 様:
スマートキャンプは、「テクノロジーで社会の非効率を無くす」をMISSIONとして、SaaSの普及を通じて、社会の生産性向上を実現する会社です。
SaaSの比較サイト「BOXIL SaaS」の運営をメインに、リード獲得から商談化までのインサイドセールス支援を行う「BALES」、顧客リストの管理からメールや架電業務までを一元管理するインサイドセールスに最適化したクラウドサービス「BALES CLOUD」などを提供しています。
-「BALES CLOUD」の請求業務に特徴はありますか?
阿部 様:
Scalebaseは「BALES CLOUD」の契約・請求管理で使用しています。
「BALES CLOUD」は、顧客リストの管理、電話発信の履歴管理、電話営業の歩留まりの可視化、メール送信や時間帯ごとの開封率の可視化など、インサイドセールス業務を効率化するクラウドサービスで、メール配信機能の有無とID数やリスト登録数を基準に、ベーシックとエンゲージメントの2プランを提供(2023年3月時点)しています。
特徴的なのは、2つのプランをベースに、「ID数」「リスト登録数」「メール配信数」「カスタムオブジェクト数」「タグ数」など多くのオプションを用意しており、お客さまの必要に応じてオプションを追加していただける設計にしていることです。「導入しやすい価格で提供し、利用いただいた分の料金だけ頂戴する」という理想を掲げ、お客さまにとって無駄のない、ユーザーファーストな提供を意識しています。
-Scalebase検討の背景、導入前の課題はどのようなものですか?
阿部 様:
お客さまのニーズに合わせて柔軟にサービスを提供する一方で、ID課金や機能課金などマネタイズポイントが多く、管理がとても煩雑になっていました。スプレッドシートで契約、請求、売上を管理していましたが、契約数がこれ以上増えると堪えられない状況でした。
中谷 様:
1顧客に対して主契約、ID数、オプション名などを記載するため、スプレッドシートが縦にどんどん長くなってしまっていました。
しかも、この金額で何通までメールを送信できるのかなど、顧客ごとに調整される各種オプションの上限数、契約詳細までは一元管理できていませんでした。そのため、顧客リストと請求金額を毎月営業担当に確認し、上限数を超過した利用がある場合は、営業側から指摘をもらうといった、属人性の高い運用で対応していました。
-Scalebase導入の決め手について教えてください。
阿部 様:
導入の決め手は、私たちのこの複雑な契約情報を、Scalebaseであればうまく再現できると感じたからです。
中谷 様:
もっとも、最初に検討したのは、全社で契約管理として利用しているCRMの活用でした。しかし、「BALES CLOUD」があまりにも特殊な提供方法だったので、他事業の管理方法とうまく合わせることができず、断念した経緯がありました。
阿部 様:
とても複雑なことをしている自覚はあり、その管理方法をずっと考えていました。Scalebaseの事例を見たとき、サブスク管理の痒い所に手が届く設計がされていて、うまくいくかもしれないと感じました。
導入事例の企業も、似たようなフェーズだと認識していた会社が多く、また価格面も魅力でした。私もSaaSを提供している側なので、これだけの機能やサポートをこの金額で提供していただけるんだという驚きもあり、導入を決めました。
-Scalebaseへの移行はどのように進みましたか?
寺島 様:
移行データの整備に、かなりの時間を要しました。柔軟にサービス提供を行っているため、同じオプション名でも顧客ごとに契約内容が異なることがあり、1件1件申込書を確認する必要があったためです。その申込書も、過去に使用していたフォーマットでは各オプションの上限数や追加時の料金が判断できない内容も多く、営業・CS担当者へのヒアリング、場合によっては当時の提案資料まで遡ることで、なんとか整えることができました。
中谷 様:
Scalebaseへのデータ移行に関しても、オプション数が多く価格設定も特殊だったため、どのようにデータを入力すべきか手探りでした。一度登録した契約情報を一括修正していただいたこともあったと思います。それでも、担当者との定例MTGではタスクの進捗管理、Slackでの質問対応など、手厚くフォローいただき運用まで進むことができました。
(オンボーディングスケジュール)
└1ヶ月 :データ整理と必要タスクの共有、顧客情報のインポート
└2~3ヶ月 :設計、既存契約情報のインポート、検証
└4ヶ月目 :本番環境への移行
└以降 :過去契約情報のインポートなど
-Scalebase導入の効果をどのように感じていますか。
阿部 様:
契約・請求管理において属人化していた部分を標準化でき、確認作業や人的ミスの削減ができたことです。
中谷 様:
契約管理では、顧客ごとに主契約とオプション内容を全て正確に見られるようになりました。1顧客に対し全てのオプションを紐づけられることに加え、今までは営業担当者しか把握していなかった、メール配信上限数などの契約詳細もカスタム項目を活用し記録できています。請求に必要な情報をScalebaseで一元管理でき、属人化していた部分を標準化できたことは大きな効果だと感じています。
寺島 様:
また、請求書発行システムとの連携により、請求事務に関しては業務時間を約30%削減できるようになりました。
以前は、事業部としての月次の売上をスプレッドシートで管理し、そこから全社の経理に連携するシートと、マネーフォワード クラウド請求書に連携するCSVの作成が必要でした。Scalebaseの場合、受注時点で契約内容と請求スケジュールを入力すると、この月はいくらこの月はいくらと将来の売上が作成されます。月次の請求書発行のタイミングで、対象月の売上データをマネーフォワード クラウド請求書にそのまま連携するだけで完結するため、業務効率化にも繋がっています。
-「BALES CLOUD」のプライシング戦略について教えてください。
阿部 様:
「BALES CLOUD」は、新しいプロダクトですので頻度高く価格の見直しをしており、お客様の声や機能追加などを踏まえて都度更新してきました。「導入しやすい価格で提供し、利用いただいた分の料金だけを頂戴する」という思想のもと、サービス価値の向上は、課金ポイントの創出、価格改定の機会だと考えています。例えば、2022年にアナリティクス機能をリリースした際も、IDごとの権限設定が閲覧権限か編集権限かなどで細かく課金ポイントを設計しています。
既存顧客に対しては導入いただいた経緯も大事にしているため、あまりにも差異が出てきたタイミングや更新のタイミングに限って調整をしていますが、オプションの設計や価格の改定は大きな戦略として位置付けており、毎月議論しています。
-Scalebaseはどのように役立っていますか?
中谷 様:
Scalebaseは、ID数に基づく料金計算など、課金体系に関してはかなり柔軟に設定できるため、価格改定にも問題なく対応しています。
むしろ、今までの試みの中でプロダクトの価値が見えたことと、Scalebaseにより管理業務の標準仕様ができたことで、価格改定に一定の枠組みが作られたと感じています。最近では、Scalebaseでの運用に影響はないかという管理業務から逆算した議論もされています。スプレッドシートで契約管理をしていたときは、バックオフィスの負担までは考慮されていなかったので、大きな変化だと思います。
寺島 様:
プライシング戦略を実現する一方で、契約・請求管理の重要性に気付く機会にもなりました。
実は、Scalebaseへデータ移行の際に、過去の請求漏れを発見し、回収できた売上がいくらかありました。追加のご契約をいただいたにもかかわらず、月額料金に上乗せすることが漏れており、誰も気付かず何ヶ月も経過していました。
顧客数が増え追加のご契約も多くなった一方で、数字を正確に把握できていなかった証拠です。今後も発生していたと思うと、Scalebase導入はいいタイミングだったと思います。
-Scalebaseを一言でいうとどんな存在ですか?
寺島 様:
「心強いパートナー」です。様々なオプションが存在する提供方法、頻度高く行われるメインプラン・オプションの価格改定など、「BALES CLOUD」の契約管理は複雑になっています。Scalebaseなしでは正解というものが存在しなかったのではないかと感じています。
また、スプレッドシートでの契約管理と手作業での請求書発行は、どうしても人的ミスが起こり得ます。Scalebaseでは、受注のタイミングで契約内容を登録しておくだけで将来にわたっての請求データが完璧に仕上がります。多忙になりがちな月末月初でも、安心かつスムーズに請求作業が行えるので本当に心強い存在です。
契約・請求管理が複雑になりがちなSaaS企業には、Scalebaseをおすすめします。多用な料金計算モデルに対応しているので、プライシング戦略の幅も広がると思います。
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