2023.3.2

【イベントレポート】急成長SaaS HERPに学ぶ!事業成長とともに進化するバックオフィス

株式会社HERPでコーポレートを担当している安原慧氏とCS & Opsを担当する加藤啓太氏に、バックオフィスについて中心的にお伺いしつつ、勢いのあるスタートアップをどう作られてきたのか・今後取り入れられたい仕組みを教えていただきました。


目次
会社紹介
HERPのバックオフィスの現状
6ヶ月間のビジネス成長とバックオフィスの変化
CSが請求業務を行う背景とは
HERPが考えるバックオフィスの使命とは

会社紹介

2017年3月に設立した株式会社HERPは、「採用を変え、日本を強くする」というミッションを掲げ、採用の事務的なオペレーション業務を一括で効率的に管理するツールや、転職潜在層にアプローチするためのサービスを提供しています。

コロナ禍の影響を受けながらも、累計導入数は1,000社を超え、創業以来プラス成長を維持しつづけています。

また、2021年の10月には9.5億円の資金調達でSeriesBに到達しました。


HERPのバックオフィスの現状

人員について

私(安原氏)がHERPにジョインした2021年5月頃は、正社員2名・パートタイマー2名という少ない人員で活動していました。

ビジネス部門に比べるとコーポレートの採用は後回しになりがちで、かつ採用にかけられるリソースが少なかったことが原因でした。

しかし、最低限の業務に忙殺され前向きな施策を打てない状況であったこと、組織の規模拡大にあたって現状のギリギリのオペレーションで回していくのはサスティナブルでないと感じたため、2021年10月頃から本格的に正社員の採用活動を開始し、人事・採用系の人員が揃ってきました。

採用の社内調整に苦戦している方へアドバイス 最適な採用人数とは?

最適な採用人数は従業員数の10%と言われていますが、それよりも企業や現場の採用ニーズを把握し、必要な人材像を議論し深めていくことが重要だと思います。

これは、経営陣の意思決定に従うだけでなく、全社員でフラットに議論した結果が受け入れられやすいカルチャーがあってこそできることですね。


6ヶ月間のビジネス成長とバックオフィスの変化

過去6か月間で、**顧客数の拡大**• **投資の拡大**• **監査対応の開始**という3つの大きな変化がありました。

その変化に応じて、**作業量の増大・支払請求書の増加・購買フローの明確化**が課題となりました。また、**監査対応に耐えうる会計制度の導入**が必要になりました。

その対策として、主な請求業務をCSに移管し、バックオフィスは未払請求・債務管理に専念する体制にしました。分業することで業務効率化を図っています。

また、バクラク申請&請求書(会計システム)を導入し、支払請求書の1次受けをバックオフィスから現場に移管している最中です。

バクラク申請&請求書導入前は、請求書をバックオフィスのメーリングリストに集めてから、支払い請求書の処理をする運用をしていました。

本来は事業部で稟議を通したうえで経理に請求書が流れてくるというのがあるべき姿だと考えていますが、実際は請求払いを担当した事業部が請求書を見ていないので、それが本当に必要な支払いなのか検証することは困難でした。

バクラク申請&請求書を導入してからは、稟議の機能を使って事業部との連携がスムーズにできるようになりました。


CSが請求業務を行う背景とは

元々はバックオフィスで請求業務を行っていましたが、フィールドセールスとCSで異なるツールを使っていたので、3~4ヶ所から集めたデータのチェックや経緯の確認をしなければならず、社内の連携コストがかかっていました。

そこで、請求漏れの検知や情報の共有のキャッチボールを減らすため、導入後に顧客接点の多いCSに請求業務を任せることにしました。

案件管理や見積・請求管理は、SalesforceとScalebaseをメインで使いながら、入力/登録漏れのダブルチェックを含めCSオペレーションズで体制を改善しながら運用しています。

*請求書*作成ソフトと会計システムが連携しているので、基本的には経理との連携は課題に感じていません。


顧客が拡大したことで、バックオフィスにどのような業務負担が増えましたか?


契約の個別性が出てきて、イレギュラーな契約をチェックする件数が増えました。

単純に新規のお客様と既存のお客様の更新で請求数自体が増加したこと、更に中堅・大手のお客様が増えてくると会社独自の規約がある為、微調整が必要になることが課題になりました。

例えば、『会社独自の決済ルールに合うよう調整して欲しい』という要望などはScalebaseの請求タイミングと支払期限タイミングのカスタム機能が無ければうまく運用できなくなりました。コミュニケーションでの調整コストを掛けず、Scalebaseのシステムでカバーできています。

毎月500件近くの請求がありますが、SalesforceのデータとScalebaseの請求データをほぼ自動で突合して、金額と期間のズレがないか・入力漏れがないかチェックできています。また、請求を送る手前のダブルチェックもほぼ自動化できているので、課題になっていたデータの分散も徐々に解消されつつあります。


契約時、後の会計処理が想像できず、テキスト化されていない情報(口頭でのやりとりやスラックだけに残っている情報)をバックオフィスに流さないという課題がよく挙げられますが、それはどう解決しましたか?

- そもそもお客様と口頭のみのやり取りが少ない
- メールのやり取りはグループメールを利用
- Slack上のやりとりはパブリックであれば追跡可能

上記のように、もともとやり取りをデータとかシステムに残していくという癖があり、他社さんとのやりとりの事は当初から困っていませんでした。件数の多さを負担に感じていたくらいですね。


HERPが考えるバックオフィスの使命とは

バックオフィスの使命とは、**事業・組織のパフォーマンスを最大化すること**だと考えています。

そのために、『**「管理すること」を目的化しない』・『コーポレート部門は組織戦略の責任部署』**という意識を持って仕事しています。


「管理すること」を目的化しない

- 会社規模の増大や監査対応で整然としたプロセスを求められる機会が多くなるが、それにより事業成長や弊社(HERP)のオープンでフラットな雰囲気が損なわれては本末転倒。
- 基本は事業と組織の成長をサポートすることが最優先。


コーポレート部門は組織戦略の責任部署

- 事業戦略についてビジネス部門や開発部門が責任を持つならば、コーポレート部門は組織戦略に責任を持つ。
- メンバーが高いモチベーションを保てる職場環境を確保すること、必要な人材を確保することはコーポレートの使命。

会社規模の増大や監査対応で承認プロセスの見える化・整備を求められますが、内部統制を整えることは重視しておらず、あくまでも事業と組織の成長のために不可欠な部分(事業運営上問題があるところ・オペレーションがスムーズになるところなど)があれば整えていくという感じですね。

また、コーポレートは裏方と捉えられがちですが、本来は組織戦略(メンバーがモチベーションを保つにはどうしたらいいか・採用を担う上でどういう組織にしていくのか)という重要なパートを担うべきだと考えています。

更にパフォーマンスを最大化するアプローチを社内に発信することも心掛けていて、システム導入によりバックオフィスだけでなく営業や開発のメンバーにもメリットを感じてもらうことが大事だと考えます。


組織を更に強くする取り組みとは?

1on1をすべて公開し、オープンなコミュニケーションを行っています。

Slackに議事録を書き込むとNotionに流れ通知される仕組みになっていて、見ている側も気軽にコメントを書き込むことができます。そこから議論に繋がり、新たなプロジェクトが生まれたり改善案が見つかったりします。 


リモート下でのコミュニケーションについて


基本的には自由出社にしていますが、リモートだと新しいアイデアが生まれにくいので、蔓延防止措置などが無ければ出社奨励日を設けています。

人の距離感が近いからこそさらに事業がドライブしていくという感覚を持っており、オンラインの1on1でも、仕事の話だけではなく雑談も交えつつコミュニケーションを積極的に取るようにしています。

また、Slackの個人のチャンネルでプライベートの話やメモを共有し、そこでもコミュニケーションが生まれたり、個人の状況把握ができます。


ツールの選定の基準

バックオフィスツール選定の際の検討事項は、

1. **業務フローが使用ツールに定義されてしまい、不可逆性が大きい(スイッチングしにくい)**
- 使用している他社へのヒアリング
- 競合ツールとの比較検討
2. **他部署(ビジネス、開発など)ユーザーにとっての利便性**
- バックオフィス部門以外のユーザースムーズに使いこなせるか事前に確認する必要がある
3. **他ツールとの組み合わせ**
- 複数のツールを組み合わせてオペレーションを構築するため、想定している連携が行われるかは慎重に見極める必要がある
- 顧客データは大量かつ頻繁に更新されるため、ツール間でデータベースにズレがないこと、タイムリーに同期されていることを担保する必要がある


**の3つです。**

顧客のデータ・金額の数字がしっかりと連携するだけでミスや工数が減り、結果的にお客様に対する金額面や契約のやり取りのスピードアップに繋がります。ですので、個々よりも全体最適でワークするかが重要で、日々最新のデータに更新できるかつ連携が取れるというところを選定基準にしています。



バックオフィスが採用したいツールと現場とのギャップはありましたか?

今のところありません。

トライアル期間は限られているので、トライアル開始前に営業向けに使い方をレクチャーするセッションを設けたりと、事前準備が大事になってきます。


検討のきっかけは?

エラーが出てしまったり、現場から「あまりにも非効率で人力では管理しきれない」という声が上がれば、全体でシステム導入の検討をします。


数多くあるツールについてどう情報収集されていますか?

まず、課題に対してどういうツールがあるのか・他社はどう対処しているのかインターネット上で検索します。そしてその領域における代表的なサービスの話を聞き、競合製品や実際に導入している会社の使用感を比較サイトなどを使い調べていきます。

関連記事

LOADING...

まずは資料ダウンロードから

ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。
料金や機能など詳しくご案内します。