2025.1.16
売上計上基準とは、収益を認識し、計上するタイミングを定めたルールのことで、サブスクビジネスにおいては重要な概念です。本記事では、サブスクビジネスにおける売上計上基準の基本的な考え方や押さえるべきポイントについて解説します。
さらに、BtoB向けの継続課金サービス事業を成功させるために必要な他の重要ポイントについても触れています。成功の秘訣を詳しく知りたい方は「BtoB継続課金ビジネスを成功に導く販売・請求管理」をお読みください。
目次
売上計上基準の基礎知識
サブスクビジネスの売上計上基準の考え方
サブスクビジネスの売上計上が難しい3つの理由
サブスクビジネスの売上計上を行うときのポイント
サブスク事業の契約管理、料金計算、請求書発行・代金回収までを支える「Scalebase」
まずは、押さえておきたい売上計上基準の基礎知識について解説します。
売上計上基準とは、企業が商品やサービスの売上をどのタイミングで計上するかを定めるルールのことです。これは、企業の財務状況を正しく理解するために重要な仕組みです。たとえば、ある企業が1月に100個の商品を販売したとします。この売上を1月に記録するのか、それとも代金を受け取った2月に記録するのかで、月々の売上は大きく変わってきます。
売上を記録するタイミングが統一されていないと、正確な財務状況が分からなくなります。そのため、統一したルールとして売上計上基準を設定し、継続的に適用することが求められます。また、一度決めた売上計上基準は、原則として変更できません。同じルールを継続して使わないと、財務状況の比較ができなくなるためです。
企業の売上計上基準は、「実現主義」に基づいています。実現主義とは、商品やサービスを提供して、代金を受け取る権利が確定した時点で売上を記録するという考え方です。
実現主義に基づいた売上計上基準には、以下のようなものがあります。
<主な売上計上基準の種類>
基準名 | 内容 |
発送基準 | 商品を発送したタイミングで売上を計上する基準。特に物販業やECサイトなどで広く採用されています。 |
引渡基準 | 商品が顧客に引き渡された時点で売上を計上する基準。納品書などの証拠が必要です。 |
検収基準 | 顧客が商品を検収した時点で売上を計上する基準。特に高額商品や特殊なサービスにおいて用いられます。 |
船積基準 | 商品が船や飛行機に積み込まれたタイミングで売上を計上する基準。主に貿易取引において採用されています。 |
2021年4月から、「新収益認識基準」が一部の企業で適用されることになりました。この新基準では、収益を認識するために以下の5つのステップが採用されています。
新収益認識基準は、以下の企業に対して適用されます。
一方で、中小企業については適用が任意となっており、従来の会計基準を引き続き使用することも可能です。ただし、大企業と取引がある中小企業や将来的に上場を目指す企業は、新基準への対応が求められる場合があります。
サブスクビジネスでは、サービスや商品の提供が完了した時点で売上を計上するのが基本です。たとえば、月額制のサービスであれば、各月のサービス提供が完了したタイミングでその月の売上を計上します。
年間契約や複数月にわたる契約の場合、契約金額を契約期間で均等に分割し、各月に対応する金額を売上として計上します。たとえば、1年間の契約で12万円の料金を受け取った場合、毎月1万円ずつ売上を計上します。
このように、サブスクビジネスでは、サービス提供期間に応じて売上を分割して記録するのが一般的です。
サブスクリビジネスにおける売上管理は、以下の3つの理由から、一般的な事業よりも複雑で手間がかかります。それぞれの理由について詳しく解説します。
サブスクビジネスでは、顧客を引き付けるために、さまざまな料金プランや割引を提供することが一般的です。しかし、これらのプランが増えると、売上の計算が複雑になります。
このようにサブスクビジネスでは、料金体系が非常に複雑になりがちであるため、正確に売上を管理するには、かなりの手間と時間がかかります。料金プランが多岐にわたるほど、計算は難しくなるでしょう。
サブスクビジネスでは、顧客への請求書発行業務が非常に多くなります。特に、月額・年額サービスに加え、オプションや割引プランが加わると、請求額が顧客ごとに異なるため、発行作業はさらに煩雑になります。
また、請求書の内容は毎月変わる可能性が高く、正確に作成するには、一人ひとりの契約内容を細かくチェックしなければなりません。こうした請求書発行業務の負担の大きさが、サブスクリビジネスにおける売上管理の難しさの一因となっています。
サブスクサービスでは、顧客が利用状況やニーズに応じて、プランをアップグレードしたりダウングレードしたりします。これにより、毎月の料金が変動するため、請求書を発行する際には最新の契約内容を確認しなければなりません。
特に顧客数が多いサービスでは、この確認作業に膨大な時間がかかってしまいます。契約内容を誤って把握すると、請求ミスの原因となり、顧客との信頼関係を損なうリスクもあります。こうした複雑さがサブスクビジネスにおける売上管理の大きな課題となっています。
サブスクビジネスの売上計上をスムーズに行うためには、以下の2つのポイントを意識するとよいでしょう。それぞれのポイントについて詳しく解説します。
サブスクビジネスにおいて、売上計上をスムーズに行うためには、事前に明確な会計ルールを設定しておくことが重要です。統一された会計ルールがあれば、異なる担当者が業務を行っても同じ処理が行われるため、計上ミスやデータの不整合を防げます。特に、サブスクビジネスでは契約形態が多様であるため、明確なルールがないと担当者のスキルに依存することになり、ミスが発生しやすくなります。
たとえば、年間契約の場合、売上を月ごとに按分するのか、一括で計上するのかを明確にしておくことで業務フローが整理され、作業の重複や混乱を避けられます。
売上管理システムを導入することも、サブスクビジネスの売上計上をスムーズに行うために有効です。エクセルなどを用いた手作業では、契約件数が増えるほど、入力ミスや転記漏れが起こりやすくなります。
一方、売上管理システムを導入することで、売上データの記録・集計・分析を自動化できます。これにより、手作業によるミスを減らし、業務の効率を大幅に向上させることが可能です。特にサブスクビジネスでは、複雑な課金体系や契約内容が多いため、システム化は重要といえるでしょう。
サブスクビジネスにおける既存顧客の契約管理や請求管理業務の効率化には、継続課金ビジネスに対応した販売・請求管理システムの導入が挙げられます。ここで、SaaS企業を中心に約200社以上の導入実績を持つ販売・請求管理システム「Scalebase」を紹介します。
Scalebaseは、営業が使用するSalesforceなどのCRM・SFAと、経理が使用する会計ソフトの間に位置するサービスです。継続課金ビジネスならではの複雑な契約形態、従量課金において取引量に応じて変動する料率設定、オプション機能の追加などを踏まえた契約変更の履歴管理に対応しています。
請求管理では、Scalebaseで設定した計算式(商品マスタ)と使用量データのインポートにより従量計算、サービス・オプションを組み合わせた合計請求額などを自動で算出するため、ミスなく迅速に請求データの確定が行えます。作成された請求データは、請求書の発行、もしくは決済システムへ連携され、毎月の請求業務の効率化に貢献します。
さらにScalebaseでは、契約・請求データをもとに毎月のMRRやChurn Rateの可視化にも対応しています。毎月顧客に出す請求のデータをそのまま活用するため、正確な数字を設定なしで可視化します。
本記事では、サブスクビジネスにおける売上計上基準の基本的な考え方や押さえるべきポイントについて解説しました。サブスクビジネスでは、複雑な課金体系や頻繁な契約変更などにより、売上管理に多くの手間と時間がかかります。こうした課題を解決するには、明確な会計ルールを設定し、売上管理システムを導入することが有効です。
請求書の発行から売上回収までを効率化し、業務の生産性を高めたいなら、サブスク企業が多く使用する販売・請求管理システム「Scalebase」をぜひチェックしてみてください。サービスの詳細について知りたい方は「売上管理の業務効率化 | Scalebase(スケールベース)」から資料をダウンロードできます。
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